第七章

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「何か聞こえましたわ」 ウィンバードと談笑していた紗菜は、窓に寄る。 「……!」 窓から下を見た紗菜は、青ざめた。 三階で、しかもウィンバードの病室からはさほど離れていない所。 そこに、彼は倒れていた。 見慣れたスーツが、朱に染まっている。 「どうした?紗菜」 ただ事ではないと、ウィンバードがベッドから降りて、窓から下を見て…。 「アーリー!」 「ウィンバード、さま…」 震えて、しがみついてくる紗菜を優しく抱き締める。 「フィール医師は、前科はあるが名医だ。きっと治してくれる」 「はい……」 2人は、そっと涙を流した。 「銃で撃たれているな。弾は何か役に立つかもしれない。取っておけ」 「はい…しかし、酷いですね」 「あぁ。幸い、急所は逸れているが…」 つい先程まで元気だったのに。 「しばらく、集中治療室に入れとこう」 「分かりました」 「それから、警察を呼んでくれ」 「……フィール先生」 「大丈夫。今は何もやましいことはしていないんだから」 「分かりました…」 そう、今は………。
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