5人が本棚に入れています
本棚に追加
「何か聞こえましたわ」
ウィンバードと談笑していた紗菜は、窓に寄る。
「……!」
窓から下を見た紗菜は、青ざめた。
三階で、しかもウィンバードの病室からはさほど離れていない所。
そこに、彼は倒れていた。
見慣れたスーツが、朱に染まっている。
「どうした?紗菜」
ただ事ではないと、ウィンバードがベッドから降りて、窓から下を見て…。
「アーリー!」
「ウィンバード、さま…」
震えて、しがみついてくる紗菜を優しく抱き締める。
「フィール医師は、前科はあるが名医だ。きっと治してくれる」
「はい……」
2人は、そっと涙を流した。
「銃で撃たれているな。弾は何か役に立つかもしれない。取っておけ」
「はい…しかし、酷いですね」
「あぁ。幸い、急所は逸れているが…」
つい先程まで元気だったのに。
「しばらく、集中治療室に入れとこう」
「分かりました」
「それから、警察を呼んでくれ」
「……フィール先生」
「大丈夫。今は何もやましいことはしていないんだから」
「分かりました…」
そう、今は………。
最初のコメントを投稿しよう!