序幕

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翌日。 ウィンバードはゆっくりと身体を起こした。 髪を掻き揚げ、隣で眠るアーリーを見る。 昨日早退して来たと言うアーリーを泊めたのである。 アーリーの瞳にキスを落とし、ウィンバードは全裸のままシャワー室に向かった。 汗を洗い流すウィンバードの肢体は、筋肉も程良く付いていて男らしい。 顔付きも、全ての女性に受けるとは言わないまでも、イケメンの部類には入る。 瞳を瞑り、ウィンバードは今日1日の予定を立て始める。 予定が決まり、ウィンバードは蛇口を捻って浴室を後にした。 ウィンバードが寝室に戻ると、アーリーが気怠げな目線を向けてきた。 「おはよ。シャワー浴びてきたらどうだ?」 「うん…」 全裸のまま、ウィンバードに近付きアーリーは軽いキスをした。 お早うの挨拶である。 「昨日は暑かったね、ウィン」 「ああ、そうだな」 暑さ故、2人とも衣服を脱ぎ捨てたのである。 「今日は…辛いだろうが、お前の家を見せてくれ」 「うん…」 聞いた話に依れば、アーリーの家は焼かれていたのだと言う。 しかし、家族の死因は脳挫傷であった。 これは、ウィンバードの家族が殺された時と全く違いはない。 現場に何か手掛かりがあればいいんだが…。 「ところで、アーリー」 「何?」 「お前、朝飯は和洋どっちだ?」 「和でお願いしようかな」 「了解。作っておくから、ゆっくり入れ」 「ありがとう」 微笑むアーリーに、ウィンバードも手を挙げて応えたのだった。
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