題六章

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アーリーは、病院を出てゆっくり歩き始めた。 ウィンバードに依存していた自分。 だけれど、ウィンバードには新しく護るべき存在が出来た。 ウィンバードは優しいから、アーリーにも今まで通りに接してくれるだろう。 けれど、またそれでウィンバードが無理でもしたら…。 ウィンバードはきっと気にしない。 しかし、アーリーにとってウィンバードは唯一無二の存在だ。 だからこそ、自分もウィンバードの負担を減らそうと考えた。 そして、ウィンバードに任せていた両親殺しの件について、自分も探してみようと思い至ったのである。 早速取り掛かるべく、アーリーは警察署に戻ろうとして…。 病院の外、不審な車を発見した。 フィールの営む病院は、いわば訳ありの奴らを診察する。 アーリーは警察官であるが故、病院にいる大半の者は知っている。 彼らは既に裁きを受けた後の者だ。 裁きを受けても、普通の病院には行きにくいと感じる人々がここに来る。 しかし、その黒塗りの車は異質であり、アーリーも見覚えない者が乗っていた。 何かある、そう踏んで。 アーリーは素早く車のナンバーを覚えた。 その時、銃声が静けさを引き裂いた…。
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