第七章

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「では、何もご存知ないと?」 「ええ。私が外に出たときにはアーリー・フェルナンツェは既に倒れていましたからね」 「そうですか。病院をちょっと調べさせてもらいますよ」 「どうぞ、ご自由に。私は患者の様子を見てきます」 フィールが休憩室を出て行くと。 その刑事は呟いた。 「警察が前科持ちと親しいなんてな」 その顔には笑顔すらあった。 彼は、以前からアーリーを嫌っていた。 性格も顔もいいアーリーを逆恨みする人は警察署内でも少なくない。 彼もその内の一人だった・・・。 「失礼致します!」 アーリーのいる部屋が勢いよく開いた。 麻酔の切れていないアーリーはぼんやりとそちらを見やる。 「まことか・・・」 穂沢まこと、18歳。 今年入って来た新人でアーリーの部下にあたる。 彼は心からアーリーを慕う数少ない男の警官だった。 「ドアは静かに開けるものだぞ?」 苦笑しながら言うと、優しい笑顔を湛えた顔が慌てた顔となる。 そんな可愛い部下に。 「ゆっくり閉めて、コッチへ来てくれ」 ウィンバードと接する時と少しだけ違った声音で。 アーリーは言った。 ドアが閉まると、まことはアーリーのベッドに近付き、見舞い用の椅子に腰掛ける。 「先程・・・屋山さんがアーリーさんとフィールさんについて調べると言っていました」 「そうか」 やっぱりな、そう思いながらアーリーは呟くように言う。 屋山が自分をよく思っていないことを知っているのだ。 「俺、フィールさんの過去については知りません。でもアーリーさんが信頼しているなら・・・調べたくないです」 「確かに、信頼はしてるよ。 だからこそ、フィール医師が其れを許可することも知ってる」 「アーリーさん・・・」 「大丈夫だから。心配するな」 「はい・・・」 「ところで。此処に俺の親友が入院してる。俺が無事だと知らせて来てくれ」 「解りました」 まことが出て行くと、アーリーは一眠りするために瞳を閉じた。
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