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その声を聞き、まことの身体がビクリと震えた。
「屋山さん・・・!」
「君は声が大きいから、直ぐ分かる。内緒話をしたいのなら気をつけたまえ」
「アンタが屋山・・・」
「いかにも。しかし、初対面でアンタとは教育がなってないな」
鼻でウィンバードを嘲笑い、屋山はゆっくりと口を開く。
「だが、綺麗な顔だな」
クイッとウィンバードの顎を持ち上げる。
「あの男が夢中になるだけある」
あの男とは、アーリーのことだろう。
「今、聞いたろう?私はあの男が嫌いでね」
言って、ウィンバードに笑いかける。
「君が私に何かされたと知ったらどう思うかな」
紗菜も、まことも動けずにただ成り行きを見守っている。
チラリとまことを見たウィンバードが、紗菜をアーリーの元へ連れて行くように促す。
まことは、紗菜を連れて、静かに出て行った。
それを目の端で確認して、ウィンバードは静かに口を開く。
「アンタ、同性愛者かよ」
「ああ。女に興味はないよ」
言いながら、口付けようとしてくる屋山にウィンバードは顔を背ける。
「悪いが、あんたに構っている暇はない。情報を引き出させてもらうぜ」
「ほう。喧嘩屋の血が騒ぐか。そうして、家族を殺した犯人を捕まえようという魂胆だな」
「な・・・」
「私は、君の探している人物と繋がりがある」
「・・・っ!!」
「犯人が知りたいか?」
「条件はなんだ?」
「君の身体だ」
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