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「……収穫なしか」
少しでも手掛かりが掴めるかと思ったが、甘かったらしい。
アーリーの家は原型など留めていなかった。
山道の近くであり、人通りも少なく、また民家も近くにない。
大惨事にならなかったのは幸いと思うものの、やるせない。
生きていて欲しかったから。
親を亡くし、途方に呉れていたウィンバードを少しだけとはいえ、面倒を見てくれた恩は忘れない。
ウィンバードにとって第2の家も同然だったのだ、アーリーの家は。
「アーリー」
「何?ウィン…」
「お前これからどうするんだ?」
アーリーは自宅通いだった筈だ。
「ん…一人で大丈夫だよ。俺、実は先月から一人暮らしなんだ」
「…は?」
「父さんに言われたから。自立しろって」
「そうか……」
「ウィンが一人暮らししてるから、って。最近ご飯食べに来てないってちょっと悲しそうだった」
「……………」
「でも仕事だから仕方ないんだよね。父さんたちもそう納得してたよ」
「………せめてもう一度飯世話になりたかったな」
「ウィン…」
「ご冥福をお祈りいたします。今迄ありがとう御座いました」
必ず…見つけますから。
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