序章

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  「また白昼夢?」 ユキヒロさんは見透かしたような視線を 『僕』に向けていた。 まだすこし夢みごこちで、 足を地に付けているのか定かではない感覚。 しかし、その状況の割に 夢は何か大切なことだったような 気がする…もう思い出すことは 出来ないけれど、 「何でしたっけ、」 「タバコ、買ってくるよって話。」 微かに微笑むとユキヒロさんは 椅子から立ち上がった。 タバコっていうのは、彼の きっと何よりも大切なもので、 断じる術をたったの三ヶ月に4回も 逃している、つまり依存症という訳だ。 僕は、あの匂いが どうも気に喰わない。 「鍵、開けとくね、下の自販だし」 あぁ、忘れてたという感じに 云ってから彼は部屋を出ていった。 相手に頷く暇さえ与えないのかあの煙は。 それに鍵云々と言われても 僕は外へは出られない、 そんな風にルールづけられているからだ だから開閉の説明は不要なのに…… 多分彼の性格なんだと思う、 ユキヒロさんはお人よしなんだ。  
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