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序章
その時、俺の右手に
持たれていたものは
世界中のなによりも
重みがあったにちがいない
なによりも重くて、
なによりも怖かった
糸の様な煙を吐くその口は、
相手の左胸を指示していた。
俺が殺った、
本当に俺が?
俺が、…俺が、
死ぬ?
死にたくない!!
叫ぼうとした言葉は
緩やかに俺の中に落ちてきて、
そのまま意識と共に遠退いてゆく。
最後、混濁とした意識の中で
聞いたものは、
誰かが叫ぶ、俺の名前だった。
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