[1]

8/15
前へ
/82ページ
次へ
「我慢するって何を?」   「………………」    沈黙。   「言ってくれなくちゃわからないよ、凛々」   「…………」    今日の凛々、いつもと様子が違う、気がする。なんかこう――   「まーくん」   「何? りり――」    思考停止。というより頭をショットガンで吹き飛ばされたような感じ。    顔を向けたら視界が凛々で埋まっていた。    目が合う。あの綺麗な瞳と。    近い。    いい臭いが、凛々の香りが、鼻を刺激する。    唇に意識が集中する。柔らかい。温かい。    僕は目を閉じる。キスをする時、目を閉じるのは何故だろう、と一瞬考えたが止めた。今はそんなこと考えるべきではないと思ったから。    唇が僕の物ではない様な気がする。    刹那が永遠にも感じる。    ぬるっとしたものが僕の口に侵入し――   「……ん」   「舌を入れるな、舌を。校内ではそういうの禁止って言ったろ」
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加