[1]

11/15
前へ
/82ページ
次へ
「おはよう、雅之君。おはよう、吾野さん」   「なんだ、今日は早いんだな、むじ」    僕は声のした方向に顔を向ける。そこには予想通りのニヤついた笑みを浮かべた奴がいた。   「何度言えばわかる。むじではない、ゆ、め、じ。夢路(ゆめじ)だ。わざわざルビを付けてやったんだ、今からその腐った脳にインプットしておきたまえ」   「ルビって……、会話している僕等にそんなものが見えるわけがないだろ」   「サービスだよ、サービス。そんなこともわからないのかい、君のミニマムな脳みそは。頭を掴んで振ったらカラカラ音を立てるんじゃないかな?」    そう言って僕の頭を掴む。
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加