[1]

13/15
前へ
/82ページ
次へ
「いちゃつくのは勝手だが、時と場所を考えたまえ。まあ、目の保養にはなったがな」    黒板を綺麗にしながらこちらを見て微笑む。   「いちゃつくも何も……。まあ、過ぎたことだ。気にしててもしょうがない」    僕は凛々のほうを向き、凛々のせいだからな、と言ってみた。   「……夢ちゃんなら、知られてもいい…………かな」   「かな、は余計だと思うよ。でも大丈夫、安心したまえ。僕の口の堅さは、そこそこ定評がある」    そこそこ堅い口って、自慢できるようなものなのか、知らなかった。    黒板消しが黒板を泳いだ後には、薄く白い波が出来上がる。若干上の方に届いてない。   「てっきり僕は、雅之君は保護者の代わりなのかと疑問に思っていた」    握る力が強まる。   「だが、予想外に雅之君は――」   「保護者だよ。僕は凛々の保護者だ」
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加