[2]

12/16
前へ
/82ページ
次へ
 ああ、思い出した。    僕は檻の中のパンダのようにのっそりと起き上がる。    今は何時だ。    ポケットに手を突っ込むが、チャラチャラと音を立てるだけだった。    携帯はどこだっけ、と辺りを見回して、はっと思い出す。   「……凛々の家…………」    あの時、適当にどこかにやった覚えがある。    あいにく、僕の部屋には針が行ったり来たりしている時計しかなく、今が何時頃かわからなかった。    思っていたより、僕は携帯に依存していたのかもしれないな、と情けなくなった。    待つのは嫌いじゃないし、先に行ってようかな。    遅刻するよりはそのほうが最良の選択だと思えた。
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加