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ジリリリリッ!
ジリリリリッ!
うるさく鳴る目覚まし時計を手で押さえる。
「うーん……」
目覚まし時計め……安眠を妨害しやがって……今、何時だ?
「……8時」
時刻を確認すると8時だった。朝のHRは8:30から始まる。つまり……
「……ち、遅刻する!」
俺は急いで歯磨き、洗顔、着替え等を済ませて颯爽と家を飛び出す。
「行ってきまーす!」
今日の朝飯は惜しいが……要らん。
そうしてこれでもかという位走りに走る。
信号に引っ掛かっては焦り、
お婆さんに出会えば挨拶をして、
ようやく学校の門が見えた。
幸い、校門前に先生達の姿は見当たらない。
「……っ!」
校門の前で立ち止まり、息を切らしながら前屈みになる。高校受験の期間で体力が落ちたらしい。
距離は無いのに疲れるな……
校舎に付いている時計を確認する。時間は……8時24分。
結構ギリギリの時間だったな……危なかった。
まだ息が整っていないなか、後から柔らかい感触が背中を伝った。
「大丈夫?」
声につられ、俺は後ろを振り向いた。
「あっ……君は」
そこにいた声の主は綾中唯だった。
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