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私は諦め、家に戻る事にした。
これはきっと悪い夢だ…そう願って…。
「だだいま~…」
「お帰り、夏実ちゃん」
私を出迎えたのは母でもなく、出張中の父でもない。
母だけが知る、私の知らないオジサンだった。
「あっ…」
「夏実!!」
私はオジサンを無視し、自分の部屋へ行くため階段を登ろうとすると急に母に引き留められる。
「…何?」
「挨拶くらいきちんとしなさい!!」
案の定怒られた…。 どうして私が怒られる?怒られるのは私の母の方のハズ…。
「いいんだよ、夏実ちゃん疲れてるんだからさ」
「でも…」
知らないオジサンが母をなだめる。
まるで私のお父さんの様に…。
フザケルナ…。
「私の名前を気安く呼ばないで」
「夏実!!何て事を…!!」
その瞬間、私の頬が何かに叩かれるような衝撃を感じ取った。
「……」
対して痛くもない…貴女に叩かれてもどこも痛くない。
「謝りなさい!!夏実!!」
「……」
「夏実!!」
私は母を無視して自分の部屋へと走った。
すぐに鍵をかけ、着替えることも忘れてベットに寝そべった。
「なんだこれは…」
目が乾ききって涙すら出ない…。
「眼球が無いと涙って出ないんだ…」
この家は…私にとってまるで棺桶の様だった。
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