ケースNo.01 古河夏実『オキザリ』上

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「お願いする…?池神さんに?」 「ははっ…僕にお願いしてどうするのさ、面白い子だなぁ」 あれ?今もしかしてかなりの高クオリティでバカにされた? 「君がお願いするのは…君の後ろにいる【オキザリ】にだよ」 「私の後ろ…」 再び私は後ろを振り返るが、やはり後ろには何もいない。 「【オキザリ】は人が嫌だと感じた部分に干渉して、その部位を奪い去る事象なんだ」 「奪い去る…」 「ただ事象の中でもわりと良心がある事象でね…両目ではなく片目だけを奪っていった」 「私の左目を奪ったのも…その事象って事ですよね?」 「君の場合…オキザリが左目を奪っていったんじゃなくて、君がオキザリに左目を差し出したと考えるべきかな…」 「私が差し出した!?そんな事するわけないじゃないですか!?」 「オキザリの被害に遭う子は家庭的な問題を抱える子が多いって言ったよね?…それはその問題を自分が見たくない物と肯定し、見させないでと願ったからこそ…オキザリは君の目を奪っていった」 「それは…」 「心当たりがあるはずだ、自分が肯定化した見たくない物に…」 心当たり…そんな物、たくさんあるつい昨日の事だ覚えてない方がおかしい。 「僕に、話してごらん」 「話す…」 「話すことで気分も幾分か楽になるハズだ…どうだろう?僕に君の見たくない物を話してみてはくれないか?」 話す…私は今まで誰にも頼って来なかった。 親にすがりたくない…でもこのまま左目が見えないのは絶対に…嫌だ…。 「……わかりました、全てお話しします」 「どうぞ…」
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