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「気をしっかり持ちなよ、金縛りは気持ちの持ちようで解ける時もある」
「って言ったって…っぁあ!?」
金縛りは更に強くなり、私の身体を締め付けるようになっていく。
苦しい…。
「はぁ…仕方ないなぁ」
すると池神さんが私の前に立ち、オキザリに向けて左手を差し伸べる。
「我ガ通リシ道ノ先、何人ニモ突キ通セン障壁アリ」
池神さんがそう唱えると、差し伸べた左手の前に透明の壁の様な物が現れオキザリの金縛りを跳ね返していく。
「っ…!?」
私は急に金縛りが解け身体に力が入らなかったのか、その場に膝をつき倒れてしまった。
「はぁはぁ…」
「世に蔓延る事象、オキザリよ…確かにこの子は自分の事から目を背けているかもしれない…だがそれを我慢している事は評価してもいいんじゃないのかい?」
オキザリはまた眼孔を開き、今度は池神さんに向けて金縛りを放っていく。
「……!?」
するとその金縛りは池神さんの壁を破り、その場から池神さんを突き飛ばしていく。
「池神さん!?」
雑貨や椅子などを一緒に吹き飛ばして倒れた池神さんは額から血を流しながらゆっくりと立ち上がる。
「大した威力だ…ここまで強いオキザリは初めてだよ…」
「池神さん…血が…」
「あぁ…大丈夫だよ」
私が池神さんの側に近寄っていくとオキザリは黒い丸に1つだった赤い眼孔を、身体中に増やしていく。
「何あれ…」
「なるほど…【手神(テガミ)】無しじゃ勝てないわけだ」
「え…?」
…テガミ?
「普通、願いを喰ったオキザリは人間の嫌な部位に模した形で姿を現しそれに準じた目玉の形をした核が1つの部位に1つ形成される…だがこのオキザリは沢山の願いを今まで喰らいすぎて形までもが巨大化してしまった…」
「じゃあ私以外にも…」
「あぁ…故に核が幾つもあり、この中から君の左目を見つけるのはかなり難しい…」
「そんな…」
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