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私はゆっくりと椅子に座り込み、顔を下げる。
まるで自分の左目を髪で多い隠すように。
「まぁ…そう肩を落とす必要はない」
「え…?」
「事象は深夜から早朝までの時間帯に姿を現しやすい」
「じゃあ…」
「君がどうしても祓って欲しいと言うなら、今日の深夜2時にこの店に来てくれるかな?」
深夜2時…。
丑の刻――――――
「祓えるんですよね…?」
「…祓ってほしいんでしょ?」
池神さんは、私からどうしても願い出て欲しいように言葉を回してくる。
遠回しだろうか?
何故かこの人の言葉が私を責めている様に聞こえてしまう。
「君は…誰かに、いや…もしくは何かにお願いするって事を今までした事が無いのかな?」
誰かにお願いする…それは他人を頼ると言うこと…そんな事…私は――――――
「ありません…」
「…そっか、じゃあ今回のオキザリの件はいい教訓になるかもしれないね」
「どう言う意味ですか…」
「お願いしないと返って来ないものもあるって事さ、特に君の歳ならよりいっそう願いの力は強い…それにオキザリは反応を示す筈だ」
「勝手に奪われた物を…何故返すようお願いしないといけないんですか…?」
「頭が固いなぁ君は…そう言う風に言い回すと思って祓う時間帯を深夜に決めたんだ」
祓う時間帯を決める…?
祓うのに時間の指定があるの?
「眼帯はしてこないように…それは彼の棲みかにカギをしているのと一緒だ、それじゃあオキザリは君からは離れないよ」
「…わかりました」
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