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執拗に物事を聞くのはあまり好きではないが…私は1番気になっていた事を聞いてみた。
「池神さんは、どうしてそこまでしてくれるんですか?」
すると彼はキョトンとした顔をし、そのあとすぐに笑顔を見せながら言葉を口にしていく。
「そうだな~恐らく僕の性格上の問題なんだろうね」
「性格上…?」
「お人好しでお節介、こういうケースに対して弱いんだな~…若い子なんかはとくにさ」
何故か身の危険を感じ一歩下がる。
「いやいや、そういう意味じゃないから。確かに若い子は好きだけど…」
再び一歩下がる。
「どれだけ嫌われてるの?僕?」
「だって私は他人ですよ、ここまでする義理なんか…」
「…はぁ」
池神さんは大きく溜め息をつき、開店準備をするのかお店入口のカーテンを開けていく。
すると外はすっかり朝日が照らされ木漏れ日すら眩しく感じる程の光に私の目は眩んでいく。
「確かに君の言う通り、君に売る恩も無いし買う義理も無い。むしろ開店前の早朝に来られて迷惑しているくらいだ」
なんか少しムッとした。
「でもねぇ…君は僕の店に初めて来たお客さんだから」
「初めて来た…あっそうか、私が1番最初でしたっけ」
「そうだよ、僕はこの店で買い物をしに来るもいいし、悩みを相談するでもいい。どんな形で来られようが君達はお客さんなんだ…無下な扱いはできないよ。
それに君のソレにも少し興味があるしね」
そう言って私の左目を指摘するように彼は指を指す。
「興味…?」
「この街に来て、まだ2日目なのに僕はもうすでに2つの事象に遭遇してる」
「2つ…?」
私で初めてじゃ…ない。
「まぁ1つは店を構える前だけどね…」
彼は椅子を片付け、ゆっくりと居間の方へと向かっていく。
「池神さん、私…とりあえず帰ります」
私が扉に手をかけようとすると、彼が何かを手に持ち急いで私のもとに来てその持っていた物を差し出す。
「これは……」
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