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彼が私に渡したもの、赤く梵字の書かれた黒い眼帯だった。 素材は木のような素材で通常の眼帯より固い作りだ。
「眼帯はしちゃいけないんじゃ…」
「通常はね…事象は神や仏に関する神前とした物なら通り抜けはできる、この身寄り木から削り取った黒漆し塗りの眼帯なら彼らも通り抜けは可能だろう、一応今日丸一日使っとくといいよ」
「わ…わかりました、ありがとうございます」
私は一言、お礼を言ってその場を去っていく。
片手には先ほど渡された眼帯――――― 本人を後ろ目にして言うのも何だが若干胡散臭い臭いが漂ってる気がしてならない。
実際、私の左目は今は眼球が戻った状態だ…視力も戻ったしこれをつける必要は…。
「……神前か」
つける勇気が湧かない私は、その眼帯をポケットにしまい。 その場を後にした――――
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