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私はそのまま学校に出校し、自分の席で先程もらった眼帯をジッと見つめる。
「…はぁ」
「――河」
「……」
梵字の表示された黒い眼帯…見た目からして決していい物じゃないのはわかる。 でもこれなら―――
「―――古河」
「はぁ…」
「古河夏実!!」
「あてっ…!?」
考え事に集中していると、それを切り裂くように頭に何かの衝撃が伝わった。
「…あ」
上を見上げると教科書を丸めた担任の姿がそこにはあった。 担任と言うより鬼の様な形相をしたオッサンがいた。
「溜め息が随分出るんだな?そんなに俺の授業が退屈かぁ?古河?」
「あっいや…そういう訳じゃ」
クスクス…
「…!?」
回りが嘲笑っている声が聞こえた。
まぁ日常茶飯事の事だ…我慢我慢。
「放課後職員室に来なさい」
「…はい」
そう言ってゆっくりと席に座ると、回りの笑い声はさらに多くなる。
「…」
私は皆から目を背けるように外へと視界を移す。
何も聞きたくない…、何も見たくない…私には関係無いもの…。
「…だるい」
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