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目を背けちゃいけない物もある――――
池神さんの言葉が嫌に私の胸をやたらと締め付ける。
これはオキザリと呼ばれた私にとり憑く異物への恐怖じゃない…目を背けたがる私への憤りだ。
「はぁ…雲…早い」
オキザリは私の左目に戻っても視力までは戻してくれなかった。
私への戒めのか、私はまだ許してもらえていない。
「いっ…!?」
その瞬間再び私を言葉にならない様な痛みが襲った。
眼球が外に飛び出すような痛み…ここから出してくれと言わんばかりにその痛みは増していく。
「っあ…!?」
我慢の限界が来て私は今している眼帯を外し、池神さんがくれた黒い眼帯を急いで目に当てる。
すると痛みはゆっくりと遠退き、私の身体への負担も楽になった。
胡散臭いとは言え本当に効果はあったのだ。
「痛みが消えたんじゃない…」
黒い眼帯の奥の眼球へと触れると…やはりそこには左目は存在しなかった。
オキザリは外へと飛び出したのだと直感でわかった。
「また私の…私の後を憑いてくるのね」
振り返るがそこには何もいない…だが何かに見られているのはわかる。
彼はジッと私を観察しているのだ…逃げないように。
「いくらでも私を見るといい…好きなだけ私を蔑みなさいよ」
何もないソコに私は言葉を発した。
見る気など毛頭ない…好きにすればいい。
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