ケースNo.01 古河夏実『オキザリ』下

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放課後――――― 「三者面談?」 思いの外、すっとんきょうな声が職員室にこだました。 「あぁ…古河だけだぞ、三者面談の用紙を出していないのわ」 三者面談の用紙…? もらったかしら? 「はぁ…どうしたお前、2年に上がってからと言うもの成績もガクンと下がって、クラスに溶け込めてないし…何か悩みでもあるのか?」 「…悩み」 教師はいつもそうだ…興味が無い癖して他人の物事を知りたがる。 悩みがあるのか?だと、嫌らしい…どうせ私が悩みの種なんだろうが。 「ちゃんとこれからは授業に集中するように、それと三者面談の用紙新しいの渡すから明日中に出せな」 「…はい」 「素っ気ない返事だなぁ」 私は軽く会釈をしてその場を軽く流し、職員室を出ようとする。 いや…正確にはココにいたくないだけ。 「あっ…古河」 後ろから担任に声をかけられ仕方なしに振り返る。 「お前、その左目どうした?」 「別に…何でもありません」 そう言ってその場を去った。 明らかに可愛くないものだな。 自分で痛感する…嫌な女だって…。
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