ケースNo.01 古河夏実『オキザリ』下

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その日、私は珍しく家に直帰する事にした。 何故だろう、今思えばそうしなければよかったと後悔が絶えない。 家に直帰する数分前―――― 私はすれ違った…いつも通り帰る道で私はすれ違ってしまった。 白い車に乗った男性と私の母の姿を…。 「お母…さん?」 私は走った、嫌な予感がしたから。 転びそうになっても気にも止めず。 走った。 「はぁ…はぁ…」 急いで家の玄関を開けると出迎えてくれたのは母ではなく… 「お父さん…」 「…夏実」 私は見てしまった…玄関を開けた瞬間の父の顔…あれは何かを期待していた顔だった。 父は母が戻ってくるのを期待していたのだ。
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