ケースNo.01 古河夏実『オキザリ』下

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その日、出張から戻った父に母は離婚届を突き付けた。 父は何の反論も無しに名前を書き実印を押したと言う。 父は知っていたんだ、母が浮気をしていた事に…そしてその状況に挟まれていた私を気遣い、母から私の親権を自分にするように言ったらしい。 母は何も言わずに親権者は父と言うことで承諾したと言う。 「はぁ…」 リビングのドアの隙間から見える酒を飲んでいる父の姿。 「お父さん…」 私はその日、父に何も言わずに家を飛び出した。 行き先は1つ…池神さんの所だ…。 私は気付いていなかった…その時玄関に一枚の紙を落としていた事に。
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