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池神商店に着いた時、まだ2時を回っていなかった。
「…入りなさい」
池神さんは早く入れと言わんばかりに戸を開け私を待っている。
「あの…私…」
「いいから、早く入りな…」
「は…はい」
圧倒された…彼は明らかに怒っている。 いやそもそも何故私が…。
「あ…」
中に入ると、そこには今朝見た雑貨屋の池神商店の姿はなかった。
暗い部屋に神社の様に幾重にも張り巡らせた、しめ縄と札や白い紙の数々。
灯りは蝋燭のみ、奥には仏壇にも見えるがあれは…。
「神棚…?」
「僕の大学時代の先輩の受け売りでね…形は見よう見まねさ」
「は…はぁ」
「タオルと正装を貸そう…身体を浄めてきなさい」
「浄める…?」
渡されたのは白い浴衣に白いタオル。
「風呂に入ってきなさいと言ってるんだよ…僕もその間に準備するから」
「あ…はい、わかりました」
私は言われた通り、風呂場へと向かった。
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