ケースNo.01 古河夏実『オキザリ』下

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池神商店に着いた時、まだ2時を回っていなかった。 「…入りなさい」 池神さんは早く入れと言わんばかりに戸を開け私を待っている。 「あの…私…」 「いいから、早く入りな…」 「は…はい」 圧倒された…彼は明らかに怒っている。 いやそもそも何故私が…。 「あ…」 中に入ると、そこには今朝見た雑貨屋の池神商店の姿はなかった。 暗い部屋に神社の様に幾重にも張り巡らせた、しめ縄と札や白い紙の数々。 灯りは蝋燭のみ、奥には仏壇にも見えるがあれは…。 「神棚…?」 「僕の大学時代の先輩の受け売りでね…形は見よう見まねさ」 「は…はぁ」 「タオルと正装を貸そう…身体を浄めてきなさい」 「浄める…?」 渡されたのは白い浴衣に白いタオル。 「風呂に入ってきなさいと言ってるんだよ…僕もその間に準備するから」 「あ…はい、わかりました」 私は言われた通り、風呂場へと向かった。
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