ケースNo.01 古河夏実『オキザリ』下

12/23
前へ
/170ページ
次へ
「幾つか質問するからそれに答えるように…答えたくなければ答えなくてもいいよ」 「は…はい」 「数を数えると落ち着くって言うけど数えるかい?」 「大丈夫です…緊張はしてますが動揺はしてません」 「いい心掛けだ…じゃ始めるよ」 「はい…」 その瞬間、辺りの雰囲気が暗く重くなったのに私は気付いた。 これが…神前。 「それじゃ目を瞑ってくれるかな」 「はい…」 私はゆっくりと言われた通り、瞳を閉じる…。 真っ暗な闇…意外と落ち着くものだ。 「それじゃあ君の名前から伺おうか」 「古河夏実…」 「生年月日は?」 「7月27日…」 「通っている学校は?」 「都立烙陽学園(トリツラクヨウガクエン)…」 「好きな作者や著者は?」 「小説などはあまり読まないのでわかりません」 「お友達は何人いる?」 「いませんし、いりません」 「中学から高校への進学をした時、何を感じた?」 「何も感じてません…むしろやっと卒業できたと喜んでいたと思います」 「それじゃあ最後の質問だ」 「はい…」 「君が左目を失ったのは何が理由だと思う?」 「え…?」 「質問に答えるんだ、君の考え…思考について教えてくれ」 「それは…」
/170ページ

最初のコメントを投稿しよう!

115人が本棚に入れています
本棚に追加