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そうだ…私は見なかった、見たくなかった。
他の男と笑う母親…何も知らずに笑顔で帰ってくる父…。
そんな父に笑顔を振り撒く母親。
そして…そんな家族を理由にし学校にまで無関心に目を向けなかった。
「母が…他の男と一緒に笑う所、父が…それを知らずに笑顔で帰ってくる事…そして父と母の今の状況を受け止められない自分自身…」
自分自身…突き付けられていた離婚の二文字…。
私はそれからも目を背けたかった。
「それが君の目を背けた全てなんだね?」
「…はい」
すると目を瞑っていた私の耳に鈴の鳴る音が聞こえた。
「それじゃあ、ゆっくりと目を開けて振り返ってごらん」
私は言われた通り振り返り、目をゆっくりと開ける。
いや…開けなくてもわかる、そこには何かがいる。
「あ…あ…」
私の後ろには今朝見た黒いオキザリではなく、怒りを現す様な赤い色をしたオキザリだった。
見間違いだろうか姿も球体が少し大きくなってる。
「見えるかい?」
「はい…ハッキリと見えます…でも今朝のとは…」
「今朝のは黒かったからねぇ…君は今日も何かから目を背けようとした」
「…それは」
「その物事を君はオキザリのせいにしようとした…彼も怒っているんだ、君が責任転嫁しようとした事に」
「わ…私…」
動けない…金縛り?
「それは金縛りじゃないよ…君が無意識にその場から動かないだけだ、何かする事があるんじゃないかい?」
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