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「何をやるんだい…?」
私はゆっくりと蹴り潰されそうなオキザリの近くに行き、人生初めて土下座の様な形をとった。
「…はぁ、どうぞお好きに」
池神さんが足を離すとオキザリはドサッと音を上げながらその場に倒れる。
「さぁ…何をするのか見せてもらおう」
私は池神さんにも見えるように、地面に額をつけ深々と頭を下げた。
「私は今まで…色々な物から目を背けてきました、確かに…見たくないと願ったのは私です、アナタに見せないでくれと私は願いました」
池神はゆっくりと腕を組み、そんな夏実の後ろ姿を眺める。
「でももういいんです…それは私が見なきゃいけなかった物なんです…どうか私に左目を返してください」
深々と頭を下げる様子を見かねたのかオキザリは黒い触手をゆっくりと夏実の頭の上へと置いていく。
「どうか私に…もう一度現実を見る、チャンスを下さい」
その時、池神さんが私に向かいゆっくりと歩いて来るのがわかった。
「オキザリよ…もういいんじゃないかな?彼女にチャンスを与えてもさ」
「池神さん…」
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