ケースNo.01 古河夏実『オキザリ』下

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するとオキザリは気配を消していく、小さな黒い球体を残しその場から消えていった。 「こ…これは」 「君の左目だね…」 私がそれを拾いあげると、そこにはちゃんとした瞳がついていた。 「君の願いにオキザリも反応を示したんだ…」 「許してくれたんですか…?」 「許したんじゃない、チャンスを与えたんだ…君はそれに報いなきゃね」 「はい…」 「それじゃあもう1つの儀式をするから、神前に戻ろう」 「あ…ちょっと待ってください」 「…ん?」 私はゆっくりと何もない壁に向かい深々とお辞儀をした。 壁にじゃない…私に憑いたオキザリにだ。 「アナタは私の代わりに現実を見てくれた、ワガママな私にチャンスをくれた。本当に…ありがとう…ございました」 「ほぉ~…上出来だ」 そんな夏実に池神も関心を示す、それは彼女の短時間の変化に向けての感情なのだろう。
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