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するとオキザリは気配を消していく、小さな黒い球体を残しその場から消えていった。
「こ…これは」
「君の左目だね…」
私がそれを拾いあげると、そこにはちゃんとした瞳がついていた。
「君の願いにオキザリも反応を示したんだ…」
「許してくれたんですか…?」
「許したんじゃない、チャンスを与えたんだ…君はそれに報いなきゃね」
「はい…」
「それじゃあもう1つの儀式をするから、神前に戻ろう」
「あ…ちょっと待ってください」
「…ん?」
私はゆっくりと何もない壁に向かい深々とお辞儀をした。
壁にじゃない…私に憑いたオキザリにだ。
「アナタは私の代わりに現実を見てくれた、ワガママな私にチャンスをくれた。本当に…ありがとう…ございました」
「ほぉ~…上出来だ」
そんな夏実に池神も関心を示す、それは彼女の短時間の変化に向けての感情なのだろう。
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