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「忍野さんは僕の力を見て、神の手と呼んでるよ」
「神の手…?」
すると池神さんの右腕には梵字のような文字が羅列に並び浮き上がっていく。
「嘘…文字が浮き上がった…」
「神に近付くための清酒をかけると…僕の事象は姿を現す、さっ夏実ちゃんその左目を僕に…」
私はそのまま梵字の浮き上がった、池神さんの右手に黒く劣化した左目を乗せる。
「よく見ててね…」
「はい…」
その瞬間、私の左目を包んだ右手は目を眩ませる程の輝きを放っていく。
「眩しい…」
目が霞む…凄い光…まるで太陽みたい。
数秒後、光はゆっくりと消え右手の梵字もまるで消ゴムで字を消すように暈しながら消えていく。
「ふぅ…」
「今のは…?」
「…ほら」
池神さんが右手を開くとそこには黒く劣化した左目ではなく、真っ白な眼球に黒い瞳が戻った生き生きとした左目に変化していた。
「凄い…戻った…」
「僕の後遺症はね、右手に包んだ物の時間軸を戻す事ができるんだ」
「時間軸…」
「つまり右手に包んだ物の時間を操る事ができるんだよ」
「凄い…それって」
「そう、神のみが干渉できる物事故に神の手なんだ。でも僕は神の手って語呂があからさま過ぎて嫌いでね、手に乗り移った神と称して手神(テガミ)と呼んでるんだよ」
「手神…」
神秘的な技だ…。
右手に包んだ物を元に戻してしまうのだから、本当に神の領域の力…。
「それじゃあ…もう一度手神で君の左目の部位にコレを戻すから左目をゆっくりと開くんだ」
「あ…はい」
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