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私は眼帯を外し、無い筈の左目に力を入れ瞼を開いていく。 すると包み込むような暖かさを感じ、一気に左側の視界が光に包まれた。
「綺麗…」
神秘的な出来事に本音が出た。
「ほら、終わったよ」
ゆっくりと光が消え次に視界に入ってきたのは池神さんの笑っている姿。
「おめでとう、これで君の左目は元に戻った…」
「見える…見えます!!」
目が見える事がこんなに嬉しい事だと思わなかった。
年柄にもなく私は、はしゃいでしまう。
「解決はしたわいいが、これからはちゃんと現実に目を背けず真っ直ぐ前を見るように」
「大丈夫です」
何故だか今は断言できる…。
私はもう背かない。
「私はもう目を背けません」
「ふっ…何か君は物の数時間で変わったみたいだな」
「アナタのお陰です…」
「僕の?」
「池神さんがいなければ…私は目を返してもらえず一生現実が見えないままだった…ありがとうございました」
私は池神さんにも深々とお辞儀をした。
「いやいやよしてくれよ、君はちゃんと決心した…それは君の努力と決断が実ったからだろ?」
「でも…お礼をさせてください」
「お礼って言ったって…」
「お願い、お礼をさせて」
「う~ん困ったなぁ…」
池神さんはゆっくりと目を閉じ考えると 、何かを閃いた様に瞳をあける。
「そうだ、じゃあさ――――」
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