ケースNo.01 古河夏実『オキザリ』上

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「いっ…」 すると男性は私が下を向いていた事に気付き不思議そうに顔を覗いてくる。 その行動に私の体は止まってしまう…なぜこういう時に出てこない、条件反射君。 「な…何ですか?」 「器用だね?」 「は…?」 言ってる意味がわからない。 「左目…ウィンクしたまま喋れるんだ」 「…っ!?」 今さら気付く、自分の前髪が乱れ塞がった左目をあらわにしていた事に。 「最近の若い子はウィンクなんてお手のものか…」 天然なのか? 今時ウィンクしながら喋ってたら『痛い道まっしぐら』と言ってるのと一緒だ。 「違います…これは…」 「考え事かい?」 「え…?」 「当ててあげようか?家庭の問題でしょ?」
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