熊のクローゼット

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私は焦っていた 『脳幹「さあ危機だぞ、心拍数上げようぜ」 心臓「OK、バクバクいっちゃう」 大腸「軽く下痢でも起こしちゃおうかな」 脳幹「ちょっと待って、あとでね」』 服を着たいのだが、服は手元にはない [熊のクローゼット]に仕舞ってあるのだ 熊のお腹が開き、中には服が詰めてある [熊のクローゼット]は、朝に着替えを準備して、夜は洗濯物を洗って干してお腹に仕舞う とても便利だが、今朝は着替えを用意せず、 [熊のクローゼット]はまだ寝ている 熊は寝ていると危険だ 起きるなり野生に戻る瞬間がある ある日同じように、 [熊のクローゼット]は着替えの準備をせずに、俯せに寝ていた 私は起こそうと耳元で、 [叫ぶハト時計]を鳴らした 時刻を合わせる 「おいワレ、鉄砲玉する気あるんか」(午後五時) [叫ぶハト時計]は大きな声で時刻を伝えた 熊の鋭い爪が、私の頭の上を通過した もう少しで、顔の無い人生を歩むところだった
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