ビー玉

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僕の手のひらには大事なビー玉が一つあった それは手のひらから転がり落ちて どこまでもコロコロ転がっていく 僕はそれを追いかけた どこまでも転がっていくビー玉を追いかけて どれだけ走ったのか わからないぐらいに走った でもビー玉は無くなってしまった 僕は泣いた ただただ泣いた でも泣いてもビー玉は返ってこなかった どうしたの?と お母さんが言った ビー玉を無くしたのと 僕は言った 新しいのを買ってあげるねと お母さんが言った 僕はあのビー玉がいいと言った お母さんは諦めなさいと言った 僕はただ首を横に振った いい加減にしなさい!とお母さんにぶたれた 僕はすごく悲しくなった お母さんは優しい声で諦めよう、新しいのを買ってあげるから とだけ言った 僕は泣き止んだ 悲しくて悲しくて 心が麻痺をした 二度と悲しまなくて言いようにと 何も感じずにすむようにと お母さんは新しいビー玉を買ってくれた 無くしたビー玉よりキレイなビー玉 なくしたビー玉と一緒に転がり落ちた僕の気持ちは そのビー玉には なかったけれど キレイなビー玉だね と誰かが耳元でそっとささやいた うん と僕は答えた
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