放課後

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明日雨が降ると聞いてどうにも気分が下がる一方だ。   「晴れねぇかな、明日」   「そう、ね・・・」   空を見れば雲っている事に今頃気付かされる。 どうやら明日雨が降るのは本気らしい。 ああ、また気分が下がる・・・。   「どこか寄り道でもしないか?」   「駄目よ、私にも仕事が有るから」   「・・・ああ、そうだったな」   ティアの仕事と言ってもメイドの事だ。 家事やら何やら忙しいんだそうだ。   「いつも忙しそうだな」   「まあね、毎朝誰かさんがなかなか起きてくれないから、それも含めてね」   「・・・悪かったよ」   「だったら、もう少し早く起きてくれる?」   「・・・努力するよ」   朝は弱いんだけどな、俺は・・・。 まあ、少しでもティアに苦労かけないように、早く起きれるようにしないとな・・・。   ティアの歩調に合わせて歩いていたが、屋敷はもう目の前だった。   「じゃあ、私は仕事が有るから」   「ああ、判ったよ」   ガレージにバイクを停めている間にティアは駆け足で使用人邸へと向かっていった。   「もう少し、あいつと二人きりでいられないかな・・・」   ティアへの想い、いつか伝えたい。 でも、どうしても身分が邪魔になる。 もし、想いを伝えたとしても、その関係がばれてしまえばティアは屋敷から追放される・・・。   「・・・くそっ!」   右手で壁を殴る。 冷たい感覚だけが、その手に伝わってくる。   「なんで、こんなにも苦しいんだよ・・・!」
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