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朝、この時は俺にとっては苦手な時間帯であると同時に至福の時だった。   「ルーク、起きなさい!」   「・・・後、5分・・・」   「いい加減にしなさい!」   ベッドに潜ろうとしたが、それを奪われた。   「相変わらず荒っぽい起こし方だな」   俺は欠伸を噛み殺し、近くに置いていた着替えを掴んだ。   「荒っぽいと思うくらいなら早く起きなさい! まったくもう・・・また夜更かしでもしてたの?」   「勉強をしばらく、な」   夜遅くまで色々と本を読む事が最近は多い。 そのせいか、最近視力が落ちてきているのを実感していた。   「朝食、そこに置いてあるから、食べ終わったら早く出た方が良いわよ」   そう言ってティアは俺の部屋を出て行った。 俺は手早く着替えを終わらせ、ティアが置いていった朝食を胃にほうり込んだ。   「やべ、こんな時間かよ」   時計を見れば時間はギリギリ、靴を履き、鞄を掴み、部屋の窓から飛び降りて玄関に向かった。   「遅いわよ」   「悪かった」   これが日常だった。 そして、いつまでも続く事を願っていた事だった。 今はまだ、俺は素直な想いをティアに告げていない。 ガキの頃から隠し続けた想いを・・・。   「さて、行くか」   「遅刻したらルークのせいだから」   「・・・げ・・・」   ただ、【身分】がそれを邪魔していた。 俺は大企業の跡取りの一人、ティアは俺がガキの頃からいつも傍に居てくれているメイド。 その身分が目障りでしょうがなかった。   「仕方ねーな、今日はバイクで行くからしっかり捕まってろよ」   俺はガレージからバイクを出し、ティアにヘルメットを渡した。   「ちゃんと安全運転しなさいよ?」   「へいへい」   そうだ、ただ身分が邪魔なんだ・・・
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