授業中のよそ見

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また、ペンがまともに動かない。 別にティアが外で体育の授業を受けているわけでもなく、ティアの居る教室が見えるわけでもない。 自分がいじましいだけだ・・・。   「・・・やべ・・・」   俺が考え事をしている合間に随分と授業が進んでいる。 俺は急いでペンを滑らせ、ノートに黒板の内容を移し書きする。   「・・・・・・」   だけど、それが終われば、また同じ事で頭の中が支配される。 他ならぬティアの事で・・・   もしも、ティアに想いを伝える事が出来たら、と。 だけど、それが周囲にばれたらティアにも迷惑がかかる。 それに・・・そんな関係になれたとしても、もしも俺とティアの仲が壊れてしまえば、本来の状態でいる事も出来なくなる。 それは、やっぱり怖い・・・。 だから、踏み出す事が出来なかった。   「何を考えているんだ、俺は・・・」   ものの数分で黒板の内容が大きく変わっていた。 急いでペンを動かすが、鐘が鳴り、授業の終わりを告げる。   「お前、調子が悪いのか?」   「何でもねーよ」   隣のクラスメートに適当に返し、俺は席を立ち上がった。 多分、部活をやっていれば鬱憤も晴らせる。 そう思って俺はその教室を後にした。   「変な奴・・・」   そう囁かれるのを背後に感じたが、今は無視しておく   「ったく、自覚してるっつーの・・・」
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