16人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
また、ペンがまともに動かない。
別にティアが外で体育の授業を受けているわけでもなく、ティアの居る教室が見えるわけでもない。
自分がいじましいだけだ・・・。
「・・・やべ・・・」
俺が考え事をしている合間に随分と授業が進んでいる。
俺は急いでペンを滑らせ、ノートに黒板の内容を移し書きする。
「・・・・・・」
だけど、それが終われば、また同じ事で頭の中が支配される。
他ならぬティアの事で・・・
もしも、ティアに想いを伝える事が出来たら、と。
だけど、それが周囲にばれたらティアにも迷惑がかかる。
それに・・・そんな関係になれたとしても、もしも俺とティアの仲が壊れてしまえば、本来の状態でいる事も出来なくなる。
それは、やっぱり怖い・・・。
だから、踏み出す事が出来なかった。
「何を考えているんだ、俺は・・・」
ものの数分で黒板の内容が大きく変わっていた。
急いでペンを動かすが、鐘が鳴り、授業の終わりを告げる。
「お前、調子が悪いのか?」
「何でもねーよ」
隣のクラスメートに適当に返し、俺は席を立ち上がった。
多分、部活をやっていれば鬱憤も晴らせる。
そう思って俺はその教室を後にした。
「変な奴・・・」
そう囁かれるのを背後に感じたが、今は無視しておく
「ったく、自覚してるっつーの・・・」
最初のコメントを投稿しよう!