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―10年前―
「ドンッ」
壁が破れるような大きな音が家中に響き渡る
怒鳴り声を吐き捨てながら兄貴は家を飛び出す
親父は真っ赤な血で染めた右拳を隠しながら俺に笑顔で接する
兄貴がいた部屋からはツーンと鼻を刺激するシンナーの臭いが充満している
小学生の俺は自分の家族は他の家庭と少し違うのではないかと泣きながら部屋にこもり考えたことを今でも覚えている
そんなこともあり小学校の思い出はあまり良いものではなかった
いや思い出など欲しくなかった
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