8説「…温泉」編

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  「え?今日のお客って、俺達だけなの?」     「ええ、そうよ……と言うより、今日はこの旅館、あたし達の貸し切りになってるの」     旅館に入り、ロビーにいた母さん達の所まで戻ったと同時に、母さんの口から凄い言葉を聞かされる。   「え、貸し切りって……この旅館全部貸し切ったの!?」     「ええ、この日の為に、前々から頼んでおいたのよ」     一同が驚いた表情で固まっている中、黒夜の側にいた白夜が耳打ちしながら……。   「姉さん……いくらなんでもやり過ぎなんじゃ」     「いいのいいの……せっかくの温泉なんだから、これぐらいしないと……」     「いや、これぐらいってレベルじゃ、ない気がするんだけど……」     母さん達がそんな会話をしている中、俺達の方は……。     「黒夜さんって、前々から凄い人だとは思ってたけど、ここまでするとは思わなかったわ」     「アハハ、確かにそうっスね、旅館全部貸し切るなんて、普通は考えられないっスよ」   「はあ、この大胆さは本当に凄いと思うよ」   「黒夜さん……やる事が凄い」     それぞれが思っている事を口にしていたら、母さんが足元に置いてあったバックを手に取り、持ち上げながら……。   「それじゃあみんな、部屋に行くわよ」     その一言で、今日泊まる部屋に移動する。       この旅館にはエレベーターがなく、上に行くには階段を上がって行くしかない。   スタスタと階段を上がって行く。     2階、3階と上がって行き、この旅館の最上階4階に到着した。     階段を上がりきると、両端に大きく延びている廊下に出る。     そして正面には、この旅館には似つかわない頑丈なドアがあった。     そしてそのドア以外は全て壁一面でおおわれている。     「あのさ、母さん……この階だけなんか、他の階とはまったく違う感じがするんだけど……」     「そりゃあそうよ、だってここは特別大部屋だもの」     母さんはそう口にしながら、フロントで貰ったのだろう部屋のカギをドア口に差し込む。   ガチャ……。   と言う音とともに、ゆっくりと母さんがドアを開けると……。  
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