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「え?今日のお客って、俺達だけなの?」
「ええ、そうよ……と言うより、今日はこの旅館、あたし達の貸し切りになってるの」
旅館に入り、ロビーにいた母さん達の所まで戻ったと同時に、母さんの口から凄い言葉を聞かされる。
「え、貸し切りって……この旅館全部貸し切ったの!?」
「ええ、この日の為に、前々から頼んでおいたのよ」
一同が驚いた表情で固まっている中、黒夜の側にいた白夜が耳打ちしながら……。
「姉さん……いくらなんでもやり過ぎなんじゃ」
「いいのいいの……せっかくの温泉なんだから、これぐらいしないと……」
「いや、これぐらいってレベルじゃ、ない気がするんだけど……」
母さん達がそんな会話をしている中、俺達の方は……。
「黒夜さんって、前々から凄い人だとは思ってたけど、ここまでするとは思わなかったわ」
「アハハ、確かにそうっスね、旅館全部貸し切るなんて、普通は考えられないっスよ」
「はあ、この大胆さは本当に凄いと思うよ」
「黒夜さん……やる事が凄い」
それぞれが思っている事を口にしていたら、母さんが足元に置いてあったバックを手に取り、持ち上げながら……。
「それじゃあみんな、部屋に行くわよ」
その一言で、今日泊まる部屋に移動する。
この旅館にはエレベーターがなく、上に行くには階段を上がって行くしかない。
スタスタと階段を上がって行く。
2階、3階と上がって行き、この旅館の最上階4階に到着した。
階段を上がりきると、両端に大きく延びている廊下に出る。
そして正面には、この旅館には似つかわない頑丈なドアがあった。
そしてそのドア以外は全て壁一面でおおわれている。
「あのさ、母さん……この階だけなんか、他の階とはまったく違う感じがするんだけど……」
「そりゃあそうよ、だってここは特別大部屋だもの」
母さんはそう口にしながら、フロントで貰ったのだろう部屋のカギをドア口に差し込む。
ガチャ……。
と言う音とともに、ゆっくりと母さんがドアを開けると……。
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