『※売店にでも行ってみるかな。』

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『※売店にでも行ってみるかな。』

  荷物を部屋に置いた後、俺は売店がある1階に降りて行く。   スタスタと階段を降り、1階のロビーに出る。   そして売店がある方にゆっくりと歩いて行っていると……。   「わあ~変わってるぜシリーズがあるじゃない」   売店の方から、どこか嬉しそうな声が聞こえてくる。   誰だと思い、顔をのぞかせて見ると……。   「時美?」   「ん?あら、深壱じゃない」   俺の声に反応して、ゆっくりと顔をこちらに向けてくる時美。   「どうしたの?深壱もお土産見に来たの?」   「え、いや、そう言うわけじゃないけど……ただ、ちょっと見に来ただけって言うか……」   「ふ~ん……ってそれより見てよ深壱!」   そう言いながら、時美は深壱の腕をとる。   それと同時に、腕に柔らかいものが押し付けられてくる。   「……っ!」   自分の顔が少しずつ熱くなっていくのが分かる。   「と、時美!」   「ん?何?」   自分のやってる事に気付いていない時美が、立ち止まり不思議そうな表情を見せてくる。   「あの、その……柔らかいものがさ……腕に当たってるって言うか……」(ボソボソ)   時美から視線をそらしながら、ボソボソと呟くように口にする深壱。   「柔らかいもの?」   時美はそう口にしながら、視線を少しだけ下に向けると、そこには深壱の腕を自分の胸に押し当てているのが目に入る。   「……っ!」   自分のした事に気付いた途端、顔をまっ赤にして深壱の腕を慌てて離す時美。   それから少しの間、どこか複雑な空気が二人の間に流れていた。   そしたらそれをやぶるように深壱が時美に話しかける。   「えっと……さっき言ってた、時美の見せたいものって何?」     「え、あ、これよ」   そう言いながら時美は、ある一点を指さす。   その時美の指先に目をやると、そこには……。     ‘上等温泉ザッ・変わってるぜシリーズコーナー’   と掲げられている看板があった。   「こ、これって、例の有名かなお菓子店にあった奴と同じ種類?」   「そうよ!しかもここには‘上等温泉’限定商品があるのよ、見てよこれ!」   さっきまで恥ずかしそうな顔をしていたのとはうって変わって、もの凄いテンションで話しかけてくる時美。   そしてまるで自慢する見たいに、商品を指さしながら……。  
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