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私は案内した。
それまでの道中、海兎が退屈にならないように、よく話してくれた。
弟の煉兎は特に自分から話すことはなく、ただ聞いていた。
そして話しながら歩くこと数分、双子の家に着いた。
「月城さん、ありがとう。いてくれてよかったよ」
「ありがとな」
私はよく笑うようになっていた。
二人にお礼を言われて嬉しかった。
「どう致しまして」
「月城さん、ここから近いの?」
「うん。少しこの先を行ったとこ」
「一人で大丈夫?」
私は笑顔で頷いた。
そして、別れた。
話してみてわかったことは、
海兎は気を遣う人だ、ということ。
煉兎は敬語が嫌いであまり話さない、ということ。
まだ、二人のことはよくわからない。
少ししか話していないから。
彼は海兎かもしれないが、あまり話さない煉兎を思うと煉兎かもしれない。
いったい、彼はどっちなのだろう…。
その問いが頭の中をぐるぐると回りながら、私は眠りについた。
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