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感情をコントロール出来ない男が、私の元を訪ねて来たのは、雷鳴轟く夜更けの事だった。
「愛してる!」
愛情。
「に、憎い!憎いぃぃぃぃ!!」
憎しみ。
「ふざけんなっ!!」
怒り。
「先生は、いいよな。俺と違って頭良くってよ。」
ねたみ。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
悲痛。
「な、なあ?お、俺は、いったい、ど、どうなっちまうんだよ、せ、先生。」
恐怖。
「………………………………。」
絶望。
「ははっ!でもでも、逆に考えれば、こんなヤツ、この世に俺しかいない訳だ!先生!こりゃ、とんでもなくハッピーってヤツなんじゃないか?あはっ!」
幸福。その他にも男は、多数の感情を私に見せてくれた。明らかに人格異常ではないのは、苦しそうな男の見た目からも感じ取れる。数分、短い時には数秒毎に入れ替わる感情。いったい、男に何が起きていると言うのだ?
「せ、先生!た、頼む!な、治してくれ!」
「………。」
「先生!!」
「残念だが、私には………。」
「何でだよ!アンタ、先生なんだろ!!」
「ああ。」
「だったら!!」
「のどちんこ専門ですから!!」
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