故郷

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私は九州の田舎に生まれた。 周りは田園風景が広がり、田舎独特の匂いのたちこめる、殺風景なところに家はあった。 実家は本家で、正月や盆になると、親戚一同が集まり年に二度の宴会がはじまる。 土地柄かもしれないが、現在も男尊女卑の残る所で、物心ついた頃にはいつも台所で手伝いをさせられた。 私は次女で、上には年子で学年が一緒の姉と、下は五つ離れた妹がいた。 姉は生まれながらに外国人のような目鼻立ちで、年の近い私はいつも比べられた。 「綾香は美人だね。目も大きいし鼻高い。舞は誰に似たんだろうね…」 と、親戚の集まる度に言われた。 正直、母と父は綺麗な二重で、鼻も高く、整った顔立ちをしていた。 私はというと、鼻も低く、目も一重。 可愛い可愛いと言われる姉を尻目に、ぶすくれる毎日だった。
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