錯綜

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……とまぁ、そんなこんなで時間は過ぎていくわけだ。 喫茶店の宣伝用マスコット的存在となっていた俺が空き時間となったのは、午後2時。 昼飯は座っている時に食べた。……というか、大介に食わされた。 そして現在俺は、大介に引きずられながら他のクラスを回っている。 すれ違う人々に写メられたりして居心地が悪い俺の横で、大介は「2-Bの喫茶店をよろしくぅー!」と宣伝している。 大介だって軍服なのに何で俺だけ写メるんだよ!? どこにいたって俺は宣伝用マスコット的な存在らしい。 マスコットって普通可愛いものじゃないか? 悶々と考え始めた俺。 気がついたら大介にグラウンドへとつれて来られていた。 グラウンドを広々と活用しているのは隣の2-Cで、人間で人生ゲームをやっているらしい。 ちなみにクリア時のポイントは他のクラスで使える券と換えられるのだとか。 「何その格好!名取君カッコいい!!写メ撮らしてぇ~」 そう言って近付いて来たのは2-Cの西沢葵。 「京一だけかっ!?俺はどうなんだよ、俺は!?」 「やだ、いたの?大介今日もちっちゃくて丸っこい~!」 西沢と大介は幼なじみらしく、結構仲が良い。 「ちっちゃくて丸っこいはほめ言葉じゃねぇ!!」 「知ってるわよ。ねぇ名取君、人生ゲームやってかない?」 「遠慮するよ」 俺は首を横に振る。 そんな事をしていたら余計に見世物になってしまう。 「はん!残念だったな葵!俺と京一は今から明日の宣伝のために体育館に行くんだよ」 は…っ初耳だ……。 驚きに目を見張る俺を見て、西沢は胡散臭げに大介を見下ろした。 大介の方が小さい。 「明日?何をするの?」 「俺!…と京一が歌うのさ!!」 「そうなんだぁ?じゃ、見に行くからね名取君!」 「頑張ってねー」と言って仕事に戻っていく西沢を見ながら、大介は悔しげに地面を蹴った。
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