錯綜

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文化祭、2日目。 2日目は外来客が多くなり、結構混んだりする。 今、俺は大介に言われた通り学校の制服を着て、体育館のステージ裏にいる。 いつも首にかけていたヘッドホンは教室に置いてきた。 あらかじめ用意されていた椅子に座り俺はため息をつく。 ……優衣は今日もいない。 歌うとなると優衣がいない方が気が軽い。 そう思ってしまう自分に舌打ちをした。 「最低だ」 GLOWは今も苦しんでいるはずで、それを近くで見ているはずの優衣は文化祭に来るような気分じゃないはず。 GLOWの酷評の中には、 「螢がいた頃のGLOWの方が良かった」 という内容のものがかなりあったと母さんに聞いた。 ――あいつらを苦しめてるのは、螢の存在だ。 GLOW結成時、俺が螢としてGLOWに入ってなかったら今みたいな事にはならなかったのかもしれない。 ぎゅっと握った拳を見つめ、GLOW結成の瞬間を思い出す。
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