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体育館に足を踏み入れた竹澤は驚きに目を見張った。
ステージ上にいるのは2人の学生。
ステージの下にはドラムやキーボード等。
ステージ上にいるのは、ギターを慣れた手つきで弾いている金髪の学生と、歌っているもう1人のぽっちゃり体型の学生で、声は少しだけ高め。
「……あいつは――…」
その学生を、竹澤は見たことがあった。
「……ッ!!おい、
吉岡クンカメラ回して!!」
竹澤の突然の指示に吉岡は「え?許可はいーんですか?」と聞き返す。
「んなもん後だ、後!!」
カメラを準備し始める吉岡を横目に、竹澤はステージ上のぽっちゃり体型の学生を食い入るように見つめていた。
まさか、あんたの息子をこんなトコで見るとはな……。
竹澤が思い出すのは、竹澤が唯一尊敬する人物だ。
「……さすがは、あの人の息子……」
歌の聞かせ方を知っている上に、上手い。
回り始めたカメラを確認した竹澤は、歌っている学生の隣でギターの弦を弾いている金髪の学生を見た。
……あれがチラシに書いてあった相棒か。
見たところギターはそれなりに出来る様だが、それほど凄い人物ではない。
金髪の学生に興味がなくなり始めた、
――その時。
『そろそろ行こうかぁ、相棒!!』
ぽっちゃり体型の学生のその一言で、曲調がガラリと一変した――。
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