夜道には御注意を

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「怒るなよ、悪かったと言っている。 あ…そうだ。ホラ、せめて奴の形見だけでも返すよ」 似蔵は懐から、束ねられた髪を出した。四人の目は開き、微動だにしなかった。 「記念にとむしりとってきたんだが、アンタらが持ってた方が奴も喜ぶだろう。 しかし桂ってのは本当に男かィ?」 束ねられた髪を高く掲げ、似蔵はその髪の束を嘗めた。 「この、なめらかな髪…まるで女のような…」  ガ キ ィ ィ ン その瞬間、銀時と餡は似蔵に斬りかかった。 似蔵はそれらを刀で受け止める。 「何度も同じこと言わせんじゃねーよ。 ヅラはてめーみてーなザコにやられるような奴じゃねーんだよ」 「何度も同じこと言わせんじゃないわよ。 小太郎はあなたみたいなザコにやられるような奴じゃないわよ」 銀時の声は明らかに、殺気立っていた。目元には血管が浮き出ている。 同じく、餡の声もトーンが違っていた。そして瞳孔が半分ぐらい開いていた。 「クク…確かに。俺ならば敵うまいよ。 奴を斬ったのは俺じゃない。俺は、ちょいと身体を貸しただけでね。 なァ…『紅桜』よ」 「なっ!」 似蔵の持つ刀から触手みたいのが伸び、うねうねと動いて脈を打っている。紅桜は段々と似蔵の手にくっついているようだった。 そして刀が大きく、太く、長く、不気味に紅く、光りだした。
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