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「だから、なぁ。俺がお前さんを、こんな苦しみから守ってやるから」
だから、
契約、しないか?
そう語った瞳は嫌に綺麗な漆黒の闇。
何もかもを塗り潰し、飲み込むその光さえも無い瞳に、俺は呆気なく陥落した。
誰も居ない部屋で幾度と無く震え続けた記憶のせいか、はたまた今まで感じた事の無い冷たく大きな掌のせいか。
黒影の手に頭を撫でられた俺は、崩れ落ちる様に床にしゃがみ込んだ。
悪魔に魅入られて、俺の孤独は終わりを告げる。
変わりに聞こえてきた警報は、俺の人生を蝕む様な危機を知らせていた。
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