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「お前さぁ、この服、何処から盗ってきてんの? いっつもいっつも」
「うん? いろいろ。そこら辺の干してあるヤツ、適当に、ずっと前から」
何か嫌な予感。
そしてある日、俺はこんな噂を聞いた。
――最近洗濯物が二、三枚ずつ、毎日のように消えていく……。恐ろしや恐ろしや。きっとこれはウルカムの残した呪いだ――と。
俺には解る。
それがサラのせいだと言う事が。
しかし、毎日のように人に気付かれず服を盗ってくるサラっていったい……。
もしかしたら盗賊の方が向いてるんじゃ……。
とにかく俺は心に決めた。
一刻も早くこの町を出ようと。
* * *
翌日、約一ヶ月分の給料を貰い、俺達はルーガを後にした。
「ねえ、どーしてもう出て行っちゃうの?」
こ……こいつは自分のやった事を解っとらんのか?
「いや、まぁ、いーだろ。金も手に入ったんだし」
「まぁ、そうね」
取り敢えず納得するサラ。
「ところでさぁ、レゾン。何で未だに女装してんの?」
はっ……忘れとった。
「まぁ、いいじゃ……ないか……」
これが結構気に入ってしまったなんて、サラには言えようはずもない。
「ま、あんたの着てた服売っちゃったから、暫くはそれで頑張ってね」
「あ……ああ」
ここで思いっきし嫌がれない自分が悲しい。
そんなこんなでも俺とサラのあての無い旅は続いていく。
いざ、次なる町へと……。
end
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