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とある秋の日の午後……路銀が尽きた。
――ヒュルリラー――
ムナシイ秋風が俺達二人の頬を通り過ぎて行く。
事の始まりは俺だった。
フッ。ちょっと遊び気分で入ったカジノで、路銀を全てスってしまったのだ……世も末よのぉ……。
「ちょっと、路銀全部スっちゃってどーすんのよ?」
寂しい秋の風に浸っていた俺のド頭を蹴り倒したのは、旅の連れ、サラだった。
――と、ここで自己紹介。
さっき、サラに蹴り倒された俺はレゾン。何処へ行っても「超」天才と言われてきた俺。ルックスもOK。女にもモテモテ。ついでに女装もOK。
あての無い旅を続けている。
で、連れのサラ。
結構美少女。まぁ、平気で美男子の俺を蹴り倒すというオチャメな性格してたりするし。
行き倒れていたのを助けたのが二人の旅の始まり。
まぁ……初めは俺の方が偉そうにしてたもんだが、今では……涙、涙の毎日です。
――「いっっってー」
「なぁにが、いってーよ」
後ろ頭を擦りながら立ち上がる俺に、冷たーい視線を投げかけるサラはため息を一つ。
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